「テクニカル分析が効きやすい通貨ペアって何?」というのは誰でも1度は気になる疑問ではないだろうか?
実際的にテクニカル分析といってもかなりの数や種類があるので一概にはなんとも言えなく、市場規模や参加者規模によって確かにテクニカル分析をしやすい通貨ペアが傾向的に存在するのは確かだ。
もちろん使用する指標やインジケーターなどによっても変わってくるので、一概にどの通貨ペアのテクニカルが効くとは言い難いところもある。
この記事では、一般的に使用する水平線やトレンドラインなどを考慮した上でテクニカル分析が効きやすい通貨ペアの特徴は何なのか?について見ていこう。
テクニカル分析がしやすい通貨ペアは市場規模が大きい
テクニカル分析の基本的な算出方法から考えると、市場規模が大きいほどテクニカル分析は比較的やりやすいという事になる。
テクニカル分析はほぼ全てにおいて過去の値動きから算出されるので、対象の人数や規模が大きければ大きいほどその効力は大きくなる。
それではなぜ市場規模がテクニカル分析に影響するのか見ていこう。
市場規模が大きい通貨ペアとは

上記グラフを見てもらうと分かるが、市場規模が1番多いのは「ユーロドル」であり、2位がドル円、続いてポンドドルとドルストレート通貨ペアが上位を占めている。
実は為替市場のシェアはこの上位3つの通貨ペアが大部分を占めており、クロス通貨で最も取引量が多いのが「ユーロポンド」になる。
基本的にはこの上位3つのドルストレートはテクニカル分析が効く通貨ペアと考えられる。なぜなら単純に市場参加者が多いからだ。ではなぜ市場参加者が多いほどテクニカル分析が効きやすくなるのか?その理由を見ていこう。
市場参加者が多いほどテクニカル分析が効きやすくなる理由
市場参加者が多いと正確な数字が出やすくなる。多数決による統計結果が明確に出やすいからだ。
それでは人気投票を例に説明してみよう。
3人の人間を対象に「10人が人気投票を行った」として、結果はAさんが5人、Bさんが3人、Cさんが2人だったとする。投票人数が10人の場合は1位から3位までそんなに大きな開きはない。ほんの1人・2人が投票を他の人間に変えてしまえば、すぐに順位は入れ替わってしまう。
それでは1000人を対象に人気投票を行なった場合はどうだろうか?Aさんが500人、Bさんが300人、Cさんが200人と言った具合に大きく差が開くこととなり、100人以上の人間が投票を変えない限り順位の変動はない。
投票人数が10人であろうが1000人であろうが割合的に結果は変わらないが、アンケートの対象者が100人、200人と増える毎にそのアンケートの信憑性もより強くなってくるのだ。
対象者が多いとブレにくくなる
対象者が多くなるという事は、アンケート結果に対する順位に対するブレが少ない。
10人に対するアンケートが、1位になっているAさんが8人、2位のBさんが1人、3位のCさんが1人だったとしても、1位のAさんに入れたたった4人が、やっぱりBさんにしようとBさんに投票を入れ替えてしまったら、一気に順位が入れ替わってしまいBさんが1位になってしまう。
しかし、投票人数が100人であった場合、たった4人の選択が変わったとしても順位はおろか、全体的なパフォーマンスに、ほとんど影響を与えない。
同じようにテクニカル分析に関しても同じ原理が働く。市場参加者が多ければ多いほどテクニカル分析に対しての信憑性は増していくという事になるのだ。
クロス円のテクニカル分析は効かないのか?
ではここで疑問となってくるのが合成通貨の存在だ。合成通貨に代表されるのは「ユーロポンド」であり、世界4位のシェアを誇っている。そして世界的にはマイナーだが、日本国内で馴染みの深いクロス円も合成通貨になる。
では合成通貨のもともとの本質をクロス円で考えてみよう。
クロス円のテクニカル分析は効きにくい?
クロス円(合成通貨)は2つの通貨ペアの掛け合わせだ。例えばユーロ円を例にしてみた場合、ユーロ円は「ドル円とユーロ、米ドル」3つの通貨が掛け合わさったものだ。
言ってしまえば、取引高世界No1の通貨ペアとNo2の通貨ペアの組み合わせであり「ユーロ」「円」「米ドル」という3つの通貨からなる。
この場合ユーロ円自体の取引高が少ないと言ったところで、大元となっている通貨ペアの取引高は圧倒的に多い。しかし、テクニカル分析という観点から見ると、ドルストレートの「ユーロドル」「ドル円」のテクニカルが最優先であり、そこから派生された合成通貨のユーロ円はドルストレートに比べテクニカル分析が効きやすいはずがないのだ。
クロス円ではテクニカル分析が効かないのか?
それではクロス円(合成通貨)はテクニカル分析が効かないのか?という疑問がある。しかし、あながちそうではない。水平線なども、大きな価格の節目ではヒゲで抜けたりなどは多かったとしても、それなりに効くことも多い。
移動平均線などはあくまでも価格の平均を示唆しているものなので、通貨ペアによって効く効かないというものは無い。
ドルストレートでもテクニカル分析が効くとは限らない
ただしこれだけは覚えておいてほしい。それは通貨ペアの取引高が多いドルストレートだからといってテクニカル分析がなんでも効果的に注目されているのか?と言われればそんな事はない。
では市場参加者以外でテクニカル分析が効きやすいのを判断する理由を他にも考えてみよう。
当然だが、テクニカル分析だけで絶対勝つものではない。テクニカル分析の目的とは勝率や資金効率を上げ最終的にトータル勝ちにもっていくのに必要な相場環境の模索だ。
時間足や使うインジケーターによっても、テクニカル分析の相性も変わってくる。
もちろん特定のテクニカル分析がやりやすい、または見つけやすい時間足などももちろん存在するし、インジケーターなども短期足で使いやすいものや、設定によって効果が変わるものなど実に色んな特性がある。
チャート分析で有名なエリオット波動なども時間足によってはほとんど見つけることのできない時間軸や、見つけやすい時間軸などがある。
エリオット波動は見つけにくいテクニカル分析指標として有名だが、実はそれは見ている時間足がそもそも見つけにくい時間足からエリオット波動を見つけようとしているという原因もなきにしもあらずだ。
通貨取引高トップ3ドルストレートの「ユーロドル・ドル円・ポンドドル」はエリオット波動が見つけやすい通貨ペアの代表だが、時間足によってもエリオット波動の見つけやすさは異なってくる。
効果的なテクニカル分析ツールは必須

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テクニカル分析が効きやすい通貨ペアを見極めるためには、自分がどの通貨ペアを使用したいのか?という他に。どういったテクニカル分析を行いたいのか?によっても変わってくる。
これはトレーダーが個々で判断するしかないものだが、優位性のある分析を行うのなら優秀な分析ツールを使用するというのは「絶対」である。
優秀な分析ツールは大きく過去に遡って検証できるのはもちろん、多種多様のテクニカル分析、インジケーターが使用でき、視覚的に相場環境が見やすいチャートになっている。だからこそ世界中のトレーダーが使用しているのだが、そういった分析ツールを使用するのは間違いなく正解であり必須である。
分析ツールは世界トップシェアを誇る「MT5」か「TradingView」ということになるだろうが、目先の大きな違いは「無料」か「有料」かだ。MT5は各証券会社が提供しているので無料だが、TradeingViewでMT5並みの機能を使用するにはかなり高額な使用量が発生してしまうので注意しよう。
まとめ
テクニカル分析が効く通貨ペアといっても時間足などによっても相性の良い悪いがある。テクニカル分析を使って勝つことを目指すなら、まず最初に取引する通貨ペアを絞るというのも非常に有効な手段になる。
取引する通貨ペアを絞ることによって、使うテクニカル分析も絞られてくるし、通貨ペアの値動きの特性やクセも知る事ができる。
色々な通貨ペアを監視するというのは、チャンスが多く見つけられると思われがちだが、そもそもそんなに簡単にエントリーポイントを見つけられるものではない。
そして検証を繰り返して自分の使いやすいインジケーター、テクニカル分析ツールを探してみる事も大切な要素だ。テクニカル分析で大切なのは「値動き」の観察であり、取引したい通貨ペアのクセや特徴などをじっくり検証してみてほしい。