エリオット波動理論|代表的な修正波のフォーメーションについて

修正波はエリオット波動でいう2波・4波・B波の波動にあたるものだ。修正波にはまた独特の特徴があり、その特徴を知る事でエリオット波動を捉えると同時に実際のチャート分析に生かす事ができる。

今回は修正波の代表的な特徴である4つのパターン

  • トライアングル
  • フラット
  • ダブルスリー・トリプルスリー
  • ジグザグ

について解説していきたい。エリオット波動の基本知識についてはエリオット波動理論とは|基本知識を完全網羅の記事をチェックしてみよう。では早速トライアングルから修正波の特徴を見ていこう。

目次

修正波トライアングル

トライアングルというと俗にいう三角保ち合いだ、しかし、エリオット波動の三角保ち合いには、修正波特有のカウントの仕方があるので紹介していこう。

基本的にトライアングルのフォーメーションが現れる波動は4波、もしくはB波になる。2波では全く出ないというわけではないが、トライアングルのフォーメーションが出ることは少なく、もし出現したとしたら3波を捉えるのは非常に難しくなるという特徴がある。

エリオット波動のトライアングルは5つの波動構成になっていて、トライアングルの中にA・B・C・D・E波という5つの波で構成されている。

エリオット波動4波のトライアングルの例

上記チャートはエリオット波動の4波だ。5波は非常に短いものになっているが、この4波の中には5つの波動でトライアングルが形成されている。

修正波4波のトライアングル内で構成される5波動の内容

ダイアゴナル・トライアングルとの決定的な違い

他の記事で紹介しているが、衝撃波で発生するダイアゴナル・トライアングルという保ち合いがあるが、修正波で発生するトライアングルとは決定的に違う点があるので注意が必要だ。

それはダイアゴナル・トライアングルはトレンド変換、つまりトライアングルが発生した時のトレンドと逆方向に向かうのと、修正波のトライアングルはあくまでも発生前のトレンドの方向に伸びていく事で、習性が全く逆だという点になる。

ダイアゴナル・トライアングルについてはエリオット波動理論|5波によく見られる衝撃波の変形パターンとは?の記事で紹介しているので興味があれば参考にして欲しい。

フラット

フラットというのはボックス的な修正波になる。フラット内部の構造は基本的に3波動+3波動+5波動の組み合わせによりひとつの修正波となる。

エリオット波動による修正波B波のフラットのパターン

上記はフラットによるB波のひとつの例だ。基本的にレジスタンスとサポートが機能しているようなボックス状態で修正波として機能していると言えるだろう。

B波のフラットでのサポートとレジスタンス

基本的にフラットの波動は計測が細かすぎて、基本的には結果論でしか判断できない。簡単な見方としては大きく3つの波動で数えていけばいいだろう。

このフラットというフォーメーションだが、他にも変形型のフラットもあるので2つ紹介したいと思う。

エクスパンディッド・フラット

エクスパンディッドのチャートパターン

上記チャートはエクスパンディッド・フラットの典型的なパターンだ。特徴としてはフラットの中の波が高値と安値を切り上げ、切り下げながら推移していくパターンで、気をつけておきたいのは、修正波の中の最終の波を衝撃波と見間違う事だ。

エクスパンディッド・フラットの後はかなり大きな衝撃波が来る傾向にあるので、エクスパンディッド・フラットに気づいたら早めに逃げておくか、もしくはエントリーチャンスとしても視野に入れておくという事にな。

ランニングコレクション

ランニングコレクションとは、2波と4波にしか発生しないフラットの変形パターンだ。ランニングコレクションは非常に強い上昇相場の時に出現する可能性があるフォーメーションで、フラットの構造の3つの波全てにおいて安値を切り上げ、高値を更新していくといったフォーメーションになる。

ランニングコレクションのチャートパターン

上記チャートの場合は3波・5波ともに上昇の勢いが強く、修正波としての修正自体が間に合っていない状況だ。修正波に見えないからと言って全く認識できないような波ではなく、明らかに3波と波の性質が違うため、意外と見つけることが出来る。

注意するべきは、ランニングコレクションが現れたら、その後急激な下落が来る傾向が強いので、ロングポジションは5波のどこかで決済しておくほうがいいだろう。

ジグザグ

ジグザグはフラットと同じく3つの波で構成される。フラットとの構成の違いは、3つの中の波がフラットの3-3-5ではなく5波動・3波動・5波動で形成されているという部分だ。

そしてフラットのようなボックス的なものではなく、修正波としてのスタンダードな調整の動きをしていく。ジグザグは基本的に2波に現れる事が多く、代表的な修正波のフォーメーションになる。

ジグザグの基本的なチャートパターン

上記はジグザグのフォーメーションでのエリオット波動2波だが、実際にこんな小さい波を捉えるのはほぼ無理だ。なのであくまでもこのフォーメーションを見つけたら、これは修正波だったんだと事後の認識でいいだろう。

ジグザグというのははっきり言って、フォーメーションとして分析するよりももっと大きく見て修正波と認識できる波なので、あまり深く追求しない方がいいのかもしれない。

そしてジグザグには延長パターンのダブルジグザグというものもある。あまりにも認識が難しくなるので、参考までに聞いて欲しい。

ジグザグの変形パターン ダブルジグザグ

ダブルジグザグというのはまさに上記のジグザグパターンが、さらにもう1回延長されたバージョンだ。そして実はトリプルジグザグというものもある・・・これはほとんど見かけないが・・・

そしてさらに延長は・・・見た事がない。いくらなんでもトリプルジグザグ以上の延長はほぼないと考えておいていいだろう。

もしそダブルジグザグのようなチャートを見たなら、1度エリオット波動自体の視点を外して、もっと別の視点からチャートを俯瞰して見てみるのもひとつの方法だろう。

ダブルスリー・トリプルスリー

そしてまた厄介なフォーメーションがダブルスリーとトリプルスリーになる。ダブルスリーにしてもトリプルスリーにしても共通するのは、ジグザグやフラット、トライアングルの複合バージョンという事だ。波の数え方としては

  • トライアングル→5つの波
  • フラット→3つの波
  • ジグザグ→3つの波

でカウントする。そしてダブルスリーはこの3つのフォーメーションの中のどれか2つの複合バージョン。トリプルスリーは3つの複合バージョンになる。

トリプルスリーに関しては、フラット+フラット+ジグザグといった同じフォーメーションが2つ入っていてもトリプルスリーとカウントする。

はっきりいってこのフォーメーションを実際に値動きしている相場から判断するのは不可能に近い。出来上がったチャートでもひとつずつ波を数えていたら病んでしまうだろう。

まとめ

今回は修正波のフォーメーションについて説明してきたが、実際に分析してみると修正波のフォーメーションを判断するのは非常に難しいというところもあり、逆にエリオット波動を難しく混乱させてしまうものになりかねない。

修正波の認識に大切なのは、フォーメーションでこいういうものがあるんだというイメージを持つ事だ。全てが形式に沿った形で相場が動いてくれるわけではないので、全体的に広くチャート分析をするべきだろう。

木をみて森見ずではないが、修正波のフォーメーションを木と例えるなら、それを前提で森を見ていく事が大切だ。

今回紹介した修正波のフォーメーションは基本的なエリオット波動のフォーメーションだ。フォーメーションというのは、解釈次第で様々な捉え方ができるものだ。

今回の記事で知ってもらいたいのは、修正波というものは方向感のない揉み合い状態が続くものが多いと認識してもらえたらいいかと思う。

そして、修正波だからと言って、ランニングコレクションのように、必ず下落で調整するとは限らないという事を覚えておいて頂けたら良いかと思う。

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