レンジブレイクとはある一定の値幅の中でのもみ合い状態がある程度続いたあとで、急にブレイク(価格が大きく動く)する事だ。
トレーダーの中ではこのレンジブレイクを狙ってトレードしている人もいるくらいに手法としても確立しているものだが、そもそもレンジブレイクとはなぜ起こるのか?その理由を知ることによってこれからのトレードには間違いなくプラスになるはずだ。
なぜならレンジブレイクには数種類のパターンがあって、その中には市場心理が大きく影響している。
この記事ではレンジブレイクが起こる理由と、チャート分析の見極めの基本的な判断について説明していこう。
レンジブレイクとはどういう状態なのか?
レンジ状態というのはある一定の価格帯の中でもみ合う事だ。上記のチャートを見てみよう、赤い四角で囲んだ枠の中がレンジ状態で、ある一定の上下の価格(レジスタンス・サポート)を抜けれずにもみ合っている。
この状態をレンジ状態と言い、かなり長期にわたってこの状態が続くことがあり、長く続けば続くほどブレイクした時の値動きは大きくなる傾向にある。
なぜレンジ状態になるのか?
ではなぜこのようなレンジ状態が起こるのだろうか?
まずレンジ状態というのは買いと売りが同じ力でぶつかり合っている状態で、レンジ状態になる場所というのは、以前に何らかの価格帯で大きくもみあっていた場所である事が多く、市場参加者から意識されている価格帯になる。
レンジとは上昇を期待した「買い圧力」と売りを期待した「売り圧力」が大きく交わる価格帯なので、レンジ状態が長くなればなるほど買いと売り、決済前の両方のポジションが溜まっていくという事になる。
ファンダメンタルで言えば、何らかの注目される指標が発表されるなどの直前なども売りと買いの思惑が拮抗していて、テクニカル的にどちらに動いてもおかしくない抵抗線あたりで揉み合っている事も多い。
つまり指標の発表などをキッカケにして、レンジブレイクによって、ある抵抗線を抜けていく事があるという事だ。
買いと売りのポジションが溜まっていく
新規の買い圧力と売り圧力の戦いでどんどん両方の決済されていないポジションが溜まっていく。
そしてさらに過去のもみ合いでまだ含み損を抱えているトレーダーもいるので、レンジをブレイクした時に、ありとあらゆる決済の連鎖が、大きな値動きへと発展していく事となる。
上にブレイクすればショートポジションを持っていたトレーダーが一斉に損切りを行う。つまり買い圧力だ。さらにブレイクによる新規買いも入ってくる。何らかの節目がある場所ならなおのこと、そこで損切りを設定しているトレーダーも多い。
この損切りを巻き込んでのプライスアクションを「ストップロス」という。
ストップロスを巻き込んでのレンジブレイクが大きく伸びる理由は次の要因だ。
- レンジをブレイクしたので新たなエントリーが大量に入る
- レンジをブレイクしたのでロスカットが大量に入る
- 価格の節目「抵抗とされていた価格帯」を抜けてきた
レンジブレイクのパターン
レンジブレイクはどうして起こるのか?という基本をふまえて、さらにレンジブレイクのパターンについて説明していこう。
1度戻ってからのさらなる上昇のパターン
1度レンジ状態から抜け出しブレイクしたはずの価格がまた戻ってくるパターンがあるが、これをリターンムーヴという。これは一体どういう状態なのだろうか?
これは1度ブレイクはしたものの利益確定売りなどに押されて一旦戻ってきた状態で、非常にメジャーなパターンだ。
ブレイクしたにも関わらず、ロスカットをまだしていない逃げ遅れた状態で、価格がレンジ上限に戻ってきた為改めてロスカットを仕掛けてくるポイントという事になる。
そしてこのポイントで新たな新規の買いも入りさらなる上昇へとつながっていくというものだ。
セオリーではこの戻りまで待ってエントリーした方がいいというのが定説になっている。しかし、それは果たしてどうなのか?詳しくは下記の記事を参考にして欲しい。
ブレイクしたかと思ったら戻ってくるパターン
1度ブレイクしたかのように見せて、またレンジの中に戻ってくる事もある。上記チャートのようにヒゲになる事もあるが、大きく抜けてまた戻ってくるパターンもよくある。
上記チャートで見てみると、その後大きく下にブレイクしてまたすぐ戻ってきたが、レンジ下にレジスタンスされて再度下降している。
これはどういうことかというと「レンジをブレイクしていない」ということになる。
よくダマシという言葉を使うが、これは騙されているわけではない。純粋にレンジを抜けられなかった。ただそれだけのことだ。
こういうのは相場ではザラにある。1度は抜けようと試みたが、反対の勢力に押し戻されたという事だ。なのでラインだけを徹底的に信じて抜けたからといって安易に飛び乗るものではないと覚えておこう。
レンジブレイクの見極めと判断
レンジ状態でも、そのレンジ枠の中である程度の力関係を見出すことができる。
それは上に何回アタックしているか?下に何回アタックしているか?などということではない。レンジ内の値動きの中から見てみよう。
レンジの中のレンジを見つける
上記チャートは先ほど使用したチャートになるが、実は随分前からレンジの上限は重要な価格の節目として機能していた。そして上にレンジブレイクして、戻ってきたところでまた跳ね返って上昇したパターンだ。
ここで疑問なのは、リターンムーヴが成功する時と成功しない時があるのはなぜなのか?という事だ。
実は上記チャートのレンジの中にもうひとつのレンジがあるのが分かるだろうか?言い換えれば基本的なレンジ状態の考えをすれば、このレンジの中のレンジというのは、男の中の男だ。
つまり、レンジの中のレンジは非常に強い抵抗帯になっているので、このレンジをブレイクしたという事は容易にはまたレンジの中には戻ってこれないという事になる。ひとつの壁だ。
ひとつ例をあげるならば、ショートポジションを握っていたが、ブレイクで損切りできないでいたトレーダーは、心理的にエントリーした価格帯まで戻ってきたところで、微損で逃げようと思うだろう。
そのポイントとなるのが、この戻りのタイミングになる。
ショートポジションの決済なので、もちろん上昇圧力になるのでリターンムーヴが起こりやすい環境と言える。
逆にこの環境でブレイク失敗で価格が戻ってくるという事は、売り圧力が非常に強い何かがあると考えられる。つまりその後の下落に注意という事だ。
しかし今回のチャートの状況からすれば、小さいレンジの発生途中で1度下に抜けるのに失敗している。
しかもその戻りが早く、買いの勢いが強い事を示唆している状態だ。
レンジブレイクにはラインを用いて判断する
そして小さいレンジの下限は以前から意識されてきたラインになり、何度もこの価格帯(抵抗帯)がレジスタンス、サポートになっている。
小さなレンジはこのサポートラインを下に抜けようとしたが、抜けれなかった。
結果的に小さなレンジを1度下に抜けて跳ね返されたところで勝負は決まっていたようなものだ。レンジブレイクを判断するには水平線も有効な判断材料になってくる。極端にいうと他のテクニカルは必要ないと言ってもいいくらいだ。
まとめ
レンジブはブレイクした時の値動きが激しい為メンタル的に揺さぶられる。こうした市場心理も関係してより一層レンジブレイクは起こり得るという事になる。
どのチャート分析でもそうだが、基本的にはどのテクニカル分析もトレーダーの心理が関係している。
そして覚えておきたいのは、レンジブレイクをしたからと言って、そのまま一直線にブレイクした方向に価格が伸びていくわけではないという事だ。
そして勝てない時ほど複雑なチャート分析をしている傾向にあるので、出来るだけシンプルなチャート分析を心がける事も大切になってくる。